今だから言える体験談
今だから言えるんです B
今だから言えるんです Aのつづきです。
ゆずは、初めて会ったときからずっと、噛んでばかりの子犬でした。
噛まれることが、はじめはすごく怖かったです。
でも、ゆずがなぜ噛んでばかりなのかを、考えるようになりました。
ゆずを産んだお母さん犬は、産後に胎盤が体内に残っていて
そのため、ゆずを出産して1週間で亡くなったそうです。
ペットショップでその話を聞いたときに、
「この犬、初乳は飲んでいますか?」 それだけを確認しました。
私自身も、二人の娘を母乳で育てた経験があり、母親の役目は、
初乳を与えるだけではないことを、身をもって知っているはずでした。
でも、その時は、ピンときませんでした。
生後7〜10週齢ぐらいは、子犬にはとても大切な時期です。
お母さん犬とふれあい、きょうだい犬とじゃれあって過ごすことで、
どれぐらい噛めば痛いのか? やってはいけないことは何か?
など、犬として生きることの道理を学びます。
このときの経験が、その子犬の人格ならぬ犬格を作りあげるのです。
また、子犬は生まれたときはもちろん、目は見えません。
歩くこともできません。
なのに、お母さん犬のところまではって行き、オッパイを飲みに行きます。
見えなくても、歩けなくても、お母さん犬が動くたびに、オッパイを探しあてます。
犬の出産に何度か立ち会ったことがありますが、
人間の子供なら泣いてお腹がすいていることを知らせるだけなのに、
「犬はすごい! 人間の負け!」 といつも感心します。
お母さん犬のそばにいるだけで、守られていると安心して、
子犬の気持ちもゆったり和らいでいくのでしょう。
さてさて、うちのゆずはどうだったのかなぁ・・・・・???
産まれて1週間で、お母さん犬とは永遠にさようなら。
おまけに、ゆずは一人っ子犬。
きょうだい犬とふざけあったり、じゃれあったりの経験もまったくありません。
誰も、ゆずに犬としてのルールやマナーを教えることなく、
ゆずはあのちいさなガラスケースの中で、産まれてからの3ヶ月を
たった一人で過ごしてきたのです。
そのことに気づいたとき、
「私がゆずのお母さんになってあげる。 今までさみしい想いをさせてごめんね!」
と母性本能がキューーーンとうずきました。
噛まれても噛まれてもあきらめずに、ゆずに愛情一杯そそいであげよう。
ゆずが今まで味わったことのない、喜びや楽しさをいっしょに一杯分かち合おう。
子育てとは、親が子どもに命令して服従させることではありません。
猛獣使いではあるまいし、叩いて言うことをきかせるなんて、
子育てではあってはならないことです。
そうだ! ゆずを私の3番目の子どもとして育てていこう!
そう思っただけで、目も前のモヤモヤがスーっと晴れていく感じがしました。
噛み噛み犬のゆずが、愛おしくてたまらなくなりました。
私が変わることで、ゆずも少しづつですが、
心を開いてくれるようになりました。
たぶん、今までの私は怖い顔でにらみつけてばかりだったと思います。
私が笑顔でゆずを見つめると、ゆずも首をちょこっと傾けて、
見つめてくれるようになりました。
「いい子だね。」 「いい子。いい子。」 「ゆず、だぁ〜いスキ!」
気持ちが落ち着くと、ほめるタイミングが分かるようになりました。
今までほめるべきときに、ぜんぜんほめていなかったのです。
すると、ゆずがだんだん私のことに注目するようになりました。
たえず、私の姿を目で追い、私のあとをチョコチョコついてくるようになりました。
「お母さんがいないと生きていけないの」
というような顔をしてこっちを見ます。
もちろん、私もゆずがいないと生きていけないようになりました。
本当の意味で、私の3番目の子どもになったのです。
もう体のどこを触っても、噛まなくなりました。
触られて嫌なところを、わざと触っても、我慢してじっとしています。
足先や口の中は、あまり触ってほしくないようですが、
私はおかまいなしに触りまくります。
嫌がっても、決して途中でやめず、おとなしくあきらめるまで
とことん触ります。
そして、その間じっとしていたら、やさしく背中をなでなでします。
「いい子。いい子」と、静かに普通にほめます。
興奮ぎみにほめまくることもしましたが、
そうすると、その後とても興奮して走り回るので、
普段の口調で、やさしく静かにほめます。
すると、ゆずはおとなしいまま、じっと私も見つめつづけます。
なんと、幸せなひとときでしょう。
犬を飼って良かった! いやいや、ゆずを家族にむかえて良かった!
ウチの娘がこんなことを言います。
「学校の家族調査票にゆずの名前を書いて、お母さん!」
ホント、そうしたいよね。(*^。^*)
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2006年04月10日 18:52